YoY+90%成長/営利50%超。異次元成長するM&A総研の高収益の源泉

M&A総研の高収益/高成長が実現できている理由と業界各社が売り込まれている背景について考察
もやし 2025.01.01
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大バーゲンのM&A仲介業界

売上高成長>=20%、営業利益率>=20%という高利益率高成長銘柄でありながら、PER<=20xの比較的割安な銘柄をスクリーニングしてみたところ、全上場企業中37件が該当しました。(バフェットコードは神ツールです)

このリスト自体非常に示唆に富んでおり、VC投資のミラクルヒットとなった『ANYCOLOR』、連続的なM&Aで急成長する『じげん』『エフコード』の他、ホスピスの『アンビスHD』といった面白い会社が名を連ねています。

中でも個人的に目を引いたのが、一時期はPER90x、時価総額4,000億円越えだった『M&A総研HD』がリストに入ってきており、同業の『ストライク』や、Foundbookを傘下にもつ『チェンジHD』、介護特化でM&A仲介を手掛ける『ブティックス』など、異様にM&A仲介会社が多かったことです。

バフェットコードより

バフェットコードより

気になってM&A総研を含む上場M&A仲介主要四社の財務指標を比較したところ、各社のPERが20xを切っていることが分かります。

しかし業績は健全そのもので、一人当たり売上高は平均4,700万円、営業利益率は最も低いMACPですら33.3%となっており、労働生産性や収益性は数ある業界の中でも、群を抜いて高いのは変わっていないようです。

中でも新興のM&A総研に至っては営業利益率はトップの50%で、売上成長率も前年比91.5%の1,189億円と異次元の成長を実現。既にストライクやMACPといった業界の古豪を上回っています。

バフェットコードより

バフェットコードより

本日は、業界全体が売り込まれている要因や、M&A総研がこのような競合企業とは隔絶した利益率が実現できる背景について、考察していきます。

設立6年で時価総額4,000億円。M&A仲介の超新星

M&A総研は2018年に現CEOの佐上さんが創業し、22年の6月に設立から4年を待たず上場。24年の絶頂期には前述の通り時価総額4,000億円に達していました。

佐上さんは元々学生企業されており、マイクロアドでの広告配信アルゴリズムの開発を経て、再度女性向けメディア事業で起業。

設立1年後に10億円でベクトルに売却すると、グループの事業売却や買収に携わり、その時感じたM&A仲介事業者への課題感をもとに同社を起業。現在に至るという経歴のシリアルアントプレナーです。

M&Aは基本的には売り手と買い手双方が、助言会社であるFA(ファイナンシャル・アドバイザー)をつけてディールを行います。

しかし、時価10億円以下の案件では売り手・買い手双方を顧客に取る仲介会社が主要プレイヤーとなっており、日本独自の発達をしています。

売り手と買い手どちらからも収益を得られるため1件当たりの収益性が高いことに加え、後継者不在による黒字廃業リスクのある企業は62万社と市場も大きく、業界自体の市場規模が非常に高くなっているのは、皆様ご存知の通りです。

売り手を起点に案件が創出されるため、他の業界でいうところの仕入れにあたる売り手のソーシングがビジネスの肝になる部分に、主要プレイヤーの中でも各社特徴が出てきます。

業界の盟主と言われるM&Aセンターは会計士や銀行とのネットワークを活用した圧倒的な売り手のソーシング力、MACPは高い給与でトッププレイヤーを惹きつけ個の力でそれに対抗。

これに対し新興のM&A総研は、ソフトウェアを活用して生産性の高いオペレーションを作り上げ、高い収益性を実現していると考えられます。

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