映画やドラマを作る北欧EC『クラシコム』。粗利43%/営利15%の高収益を実現する常識はずれの仕組み
ECで高い粗利を確保するためには粗利率が高く購買頻度が高い商材を販売する、モノタロウのように数十万のSKUを抱え利便性で価格競争を回避する、自社独自のPBを取り揃え商品力で勝負する等が考えられます。
ところが本稿で取り扱うクラシコムの主力製品の一つとして取り扱う雑貨は購買頻度が低く、SKUも1,000程度と比較的小規模、PB比率も50%程度で北欧雑貨という競合も多数存在する領域で事業を展開しています。
加えてECは一般に広告宣伝費が重いことを考えると、クラシコムの業態は普通に考えると中々利益率が取りづらいと言えます。
そんな中同社は『北欧、暮らしの道具店』という北欧雑貨やアパレルを扱うECを主力に創業来18期連続で成長し続け、粗利率は43.8%、営業利益率も15%という競合対比でも高い利益率を実現しています。
本稿ではクラシコム社の高収益を実現できるビジネスモデルと、同社が掲げる成長戦略について考察していきます。
完全自己資本で18期連続増収増益の北欧EC
クラシコムは2006年に兄弟二人により創業された企業で、兄がCEO妹が副社長を務めます。当初はCtoCの不動産マーケットプレイスを手掛けていましたが直ぐにクローズ。
事業をたたむ最後の思い出作りで北欧旅行に行きますが、そこで持ち帰った北欧のヴィンテージ食器の販売が大当たりし現在の事業に至ります。
主力のEC『北欧、暮らしの道具店』は北欧のライフスタイルに関連した雑貨や衣料品などを販売するネットショップで、主力はファッションと雑貨・日用品で、直近は化粧品等にもカテゴリの拡張を行なっています。
特徴として、多くのD2C企業が運営するInstagramだけでなく、Youtubeでのオリジナルコンテンツの発信やPodcastの配信、SpotifyやApple Music上でのプレイリストの公開など、コンテンツの配信に力を入れている点が挙げられます。

事業計画及び成長可能性に関する事項
業績は創業来18期連続で増収増益となっておりますが、上場まで外部調達を一切行わず完全自己資本で堅実な経営を行ってきています。
24年度の売上高はYoY+15.6%の70.1億円、粗利率は43.8%、営業利益率は15.4%となっており、同じD2Cのyutoriの営利率が8.8%、北の達人が9.8%と考えると利益率は高い水準であると言えます。
同社はどのようにしてこのような高収益性を実現しているのでしょうか?

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