月間1,000万ユーザー超えの求人ボックスの成長要因とは。カカクコムの超高収益の源泉と成長レバー
様々なサービス/スタートアップが登場しては退場するインターネット業界は、栄枯盛衰が非常に激しい市場です。
カカクコム社の設立はインターネットがまだ普及していなかった1997年。同世代の多くの消費者向けサービスが、スマホシフトや動画シフトといったトレンドに乗り遅れ退場する中、未だに時価総額4,944億円(2024年9月1日現在)という高い評価額がつき、市場の第一線を戦っています。
同社は超高収益企業として知られ、25年1Qの営業利益率は39.4%で、24年4月〜6月の期間の純利益率では日経500種平均採用銘柄の中でも17位となりました。
本日は同社の超高収益を支えるビジネスモデルと急成長を続ける求人ボックスについて、以下のような問いに答える形で考察していきます
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営業利益率が39.4%と高収益なのは何故か
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レビュー問題やGoogle/TikTok等の飲食店検索の代替手段が登場する中で、何故食べログが安定成長しているか
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食べログのSaaS事業とその狙いは
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高成長の求人ボックスのビジネスモデルと、何故Indeedがいる中で成長できているのか
変動費の少ない超高収益のメディアビジネス
同社の事業セグメントは、比較サイトの『価格.com』、飲食店予約の『食べログ』、求人検索エンジンの『求人ボックス』、インキュベーションの、4つとなっています。
25年1Qの売上177億円のうち、74%が価格.com+食べログの既存事業、残りの26%程度が求人ボックスを含めた新領域のメディア群からの売上となっています。
最大比率を占める会社の柱の食べログ事業はYoY+19.2%と未だに安定成長、新領域の求人ボックスも黒字を出しつつYoY+36.3%と成長率が非常に高くなっており、この2つが会社の成長ドライバーになっています。(食べログは利益率も56.1%と一位)

2025年3月期 第1四半期 決算説明資料
同社の凄まじい点が、新領域のメディア群に成長投資を行いながらも、営業利益率が安定的に40%弱と非常に高くなっている点です。その要因は広告に依存しない集客と変動費の少なさにあると、考えられます。
同社は非常に多岐にわたる事業を展開していますが、基本的には自社メディアに集客したユーザーを広告主に送客し、その手数料を得るビジネスです。
自社メディアへの集客は、飲食店や家電へのレビューといったUGCや、クローリングした求人情報をベースに、8割〜9割程度は検索エンジン経由となっています。ネット黎明期から蓄積してきたSEOのナレッジを背景に膨大な量のユーザーを集客すると、掲載/クリック型の広告や広告主サイトへの送客を通じてマネタイズを実施。

24年3月期 有価証券報告書
集客が非有償チャネルでの実施であるため広告費が抑えられ、自社で店舗や在庫を構えているわけではないため、販売代理店への手数料以外の変動費がほぼ存在しません。そのため固定的にかかる人件費を上回る収益の殆どが利益になるため、収益性が極めて高くなります。
50%の配当性向を維持し続け求人ボックス等の新領域への投資を行なってもなお、BSの833億円のうち現預金は370億円と、手元に潤沢なキャッシュが積み上がっています。
続いては会社の柱である食べログと、今後の成長ドライバーになるであろう高成長の求人ボックについて、考察していきます。
レビューに逆風が吹いても安定成長を続ける食べログと新事業のSaaSビジネス
提携媒体
コラボ実績
提携媒体・コラボ実績


