創業7年38ブランド/売上83億円を実現するyutoriのブランドグロース

右肩上がりの成長を実現するブランドグロースの仕組みに迫る
もやし 2025.06.22
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アパレル業界最年少上場、直近4年の予想売上CAGR64.5%、元AKB48の小嶋陽菜氏代表のhr社を買収など、アパレル業界で今最も注目される企業がyutori社です。

同社のグロースは、これまでのアパレル企業の主流であった店舗展開により1ブランドで企業の成長を作る方法とは異なり、継続的にブランドの立ち上げ・買収を行うことでグロースを作っている点が非常にユニークです。

そんな同社の、ブランド数の拡張を起点としたグロース戦略と、それを支える継続的なブランド立ち上げとグロースを成功させるケイパビリティについて、考察していきます。

インスタ古着メディアから始まったワカモノ帝国

yutoriの創業は2018年4月で、当時アカツキに勤めていた片石氏が副業で運営していたインスタメディア『古着女子』からスタート。1日1,000人ペースで増えるフォロワーに強いコミュニティ需要を感じ明治大学の友人だった松原氏と同社を創業。

そこから程なくして古着のECをスタートするも、一点物の古着は撮影やマスタ作成等のコストをかけても一点しか売れないため効率が悪く、仕入れモデルから現在の自社ブランドモデルにピボット。(生産はOEM)

20年にはZOZOとの資本業務提携を行いグループ入りしつつ23年12月にIPO。調達資金でブランドの買収等も行い成長を続けています。(買収案件については後述)

そんな同社は現在Z世代向けのストリートアパレルや、コスメ、香水など計38ブランドを展開。チャネル別では自社ECや直営/ポップアップ等の自社チャネルの比率が高いこと、D2C企業ながら店舗の売上が比較的高いことが特徴的です。

事業計画及び成長可能性に関する事項(25年6月)

事業計画及び成長可能性に関する事項(25年6月)

前述のように、同社はブランド数の拡大で成長してきた結果38という多数のブランドを保有するに至っています。SKUを絞った大量生産でボリュームディスカウントを追求し、1ブランドで成長してきたユニクロの対局を行く戦略と言えます。

このようなグロースを志向する理由として片石氏は、ファッションが飽和状態になり小さな多数のトレンドが存在する現代では、100個のブランドを作ることが右肩上がりの成長を作る勝ち筋になる、と語っています。

直近の売上高はYoY+92.2%の83.0億円と非常に高い成長率を実現しながら、粗利率61.5%、営業利益率は8.0%と収益化にも成功。

ユナイテッドアローズやTOKYO BASE等のアパレル企業の粗利率50%前後に対し高い粗利を確保できており、ユーザーに刺さるモノづくりでしっかりとマージンが確保できていることが伺えます。

さらに、D2C企業では50%超えの企業も存在するなど重くなりがちな広告宣伝費率も、6.9%という低水準に抑えられていることも特徴的です。

しかし何より目を引くのは、ブランド数の増加や既存ブランドの成長による2年で60億円という規模の売上増であり、このブランドの再現性高い立ち上げ・成長が、同社のコアであることは明らかです。

一体同社のブランドグロースはどのような仕組みに支えられているのでしょうか?

事業計画及び成長可能性に関する事項(25年6月)

事業計画及び成長可能性に関する事項(25年6月)

ワカモノの初期衝動に仕組みを入れる再現性の高いブランドグロース

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続きは、3930文字あります。
  • ケイパビリティーの拡大に寄与するブランド買収戦略

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