【dely】Yahoo傘下で売上34倍。料理レシピ競争と事業多角化の軌跡
国内No.1のレシピ動画プラットフォーム『クラシル』擁するdelyのIPOが遂に発表されました。
売上高98億円という国内toCスタートアップ最大規模でありながら、YoY+40%という高い成長率と、20%という高い営業利益率を両立。時価総額はPER32.4xの483億円という高いバリュエーションがついています。
2018年のYahooグループ入りが報じられた当時は、売上高3億円で30.7億円の純損失で評価額314億円。高値掴みではないかという声もありましたが、売上高を34倍、時価総額も大きく上げてのIPOに漕ぎつけました。
本日は、競合多数の料理レシピメディアでNo.1になれた要因、Yahoo傘下での販促やライバー事務所等への事業多角化、今後の成長戦略について考察していきます。
新規事業とM&Aによる多角化で売上100億円規模
delyは当時慶応SFCだった堀江氏が2014年に創業。創業はUber Eatsのようなフードデリバリー事業でしたが、2016年には現在の主力事業である、レシピ動画プラットフォームにピボット。
そこから累計で70億円以上の資金を調達し、Yahoo傘下入り。群雄割拠のレシピ動画業界でNo.1となり現在に至ります。
直近のFY24の業績はYoY+41.8%成長の98.9億円、営業利益率は23.6%の23.4億円となっています。
dely株式会社 会社紹介資料/dely
前述のクラシルで知られる同社ですが、現在はポイ活サービスのクラシルリワード、人材紹介のクラシルジョブ、女性向けライフスタイルメディアのTRILL、ライバー事務所のLIVEwithなど、事業の多角化が進んでいます。
売上約100億円のうち、TRILL、クラシルを中心としたメディア(認知)領域の収益が73.9億円、クラシルリワード中心と考えられる購買(販促)領域が6.2億円、LIVEwithのライブ配信事業のその他収益が18.7億円となっています。
既存のメディア(認知)領域が現在も収益の中心とはいえ、利益率の高そうな購買(販促)が既に立ち上がっていること、LIVE配信事業に至っては18.7億円と、新規事業がかなりのサイズであることが印象的です。
有価証券届出書
クラシルブランド系の二つのサービスは自社リソースで立ち上げを行っていますが、TRILL、LIVEwithはM&Aでグループ入り。その他にも2件の買収を行っておりM&Aを積極的に活用していることが伺えます。
まずは、多角化の基盤になっていると考えられるクラシル事業の成長と、Yahooとの戦略的パートナーシップについて見ていきましょう。
後発からクックパッドとエブリーを捲れた理由
2016年のdelyの料理動画サービスへの参入時は、多数のプレイヤーが存在しており正に戦国時代の様相を呈していました。
特にクックパッドが200万件以上のコンテンツを揃え料理動画サービスの王者として君臨しており、delyはプレイヤーとしては後発の部類に入ります。
4,200万DL超えの国内No.1サービスの座を掴めた要因は何だったのでしょうか?