立ち上げ4年・従業員16名でARR43.2億円。パーソナルAI『オルツ』驚異のグロース戦略
先日9月5日に上場が承認され10月11日にグロース市場への上場を予定しているパーソナルAIのオルツ。
社員数は16名という超少数精鋭組織ですが、主力事業のARRは立ち上げ4年弱で43.2億円に達し、驚異的なスピードで成長しています。
本日はそんな同社のビジネスモデルやグロース戦略について、目論見書を読み解きつつ考察していきたいと思います。
未上場時に80億円を調達する和製AIスタートアップの雄
オルツはメディアドゥの取締役を務めたのち未来少年を起業・売却した、連続起業家の米倉千貴氏によって2014年に創業されています。
人間一人一人の意識をデジタル上に再現することを目指した「P.A.I.」(パーソナル人工知能)の開発と普及を目指し、未上場時にシンガポール政府系のVertexやJAFCO等を含む国内外のVC・事業会社から80億円ものと資金を調達しています。
その研究開発過程で生まれた要素技術を活用した製品を提供する「AI Products事業」や、AIの活用を検討する事業会社に対して、コンサルやPoC、本番開発から協業販売までのプロジェクト遂行の支援を行う「AI Solutions事業」の、二つの事業を展開しています。
売上高は21年の9.5億円から直近2年で4.3倍の41億円まで急成長しつつ、同時に純損失も足元は14億円まで拡大しています。
新株式発行並びに株式売出届出目論見書より作成
この売上の殆どは、「AI Products事業」、中でも「AI GIJIROKU」というプロダクトからもたらされており、売上41億円のうち実に92.9%の38.2億円を同製品が占めています。
この「AI GIJIROKU」は、SaaS分析メディアを運営する早船氏の22年2月の取材で、ローンチから2年でARR20億円という圧倒的な立ち上げスピードが明らかになり、大いに話題になりました。
当時4,000社に迫ると報じられていた導入企業数は足元8,000社に到達。20年1月の立ち上げから4年弱の23年12月時点でMRRが3.6億円(ARR換算で43.2億円)と、国内のSaaS企業でも有数の規模で成長していることが分かります。
如何にして同社はこのような圧倒的な事業成長を、16名という超筋肉質な組織で実現しているのでしょうか?
新株式発行並びに株式売出届出目論見書