1年で7社をM&A。連続買収/人材エージェント事業で急成長するクラウドワークスの成長戦略

M&Aの加速とエージェント事業の成長で16四半期連続で粗利が20%成長
もやし 2025.01.27
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クラウドワークスというと、クラウドソーシングのプラットフォームのイメージが非常に強いですが、実はフリーランス派遣等のエージェント事業の粗利が、YoY+44%で成長し全社の67.2%を占める規模になっています。

また、2024年は出資も含む7社63億円のM&Aを実施しており、インオーガニックのグロースも加速しています。

本エントリでは、クラウドワークスのプラオットフォーム事業のアセットを活かした、エージェント領域の急成長モデルと、成功モデルが確立されたM&A戦略について考察していきます。

キャッシュカウかつ成長レバーのエージェント事業

クラウドワークスは上述のクラウドソーシングのプラットフォームに加え、エージェントを活用したワーカーのマッチングや、SaaSという大きく3領域で事業を展開しています。

祖業のクラウドソーシングプラットフォームでは、GMVや人材DBの規模で競合を大きく上回っており、ここが同社の大きな強みになっています。

エージェントとプラットフォームを合わせたのGMVのFY24 Q4のシェアでは、祖業でもあるエンジニア/デザイナー領域が43.4%、Web制作が42.4%とこれらのカテゴリの比率が高く、新領域としてコンサル/副業等にも注力し始めています。

FY24の通期の連結業績は、売上高がYoY+29.5%の171.1億円、営業利益も同+16.2%の13.4億円となっており、中長期目標である粗利の年間20%以上の成長を16四半期連続で達成しています。

上場から数年経つと成長率が10%台前半程度まで低下してくる企業も多い中、10年以上たった現在も高い成長を続けているのが印象的です。

2024年9月期 通期決算説明資料

2024年9月期 通期決算説明資料

クラウドワークスは事業毎に収益認識が大きく異なるため売上総利益ベースで各事業を比較していきます。

祖業のプラットフォーム事業はYoYでは減益となっていますが、営業利益率は人が介在しないため全社平均の5.7%を大きく上回る13.3%とマージンが高くなっています。

売上総利益の全社のシェアは21.3%まで低下とやや直感と異なる実態となっており、その他の事業が大きく育っていることが伺えます。

その他・SaaS事業はまだ立ち上げ直後ですが、ARRは9.2億円と既に一定の規模になっており、利幅が高いこともあり売上総利益ベースでは11.5%を占めるに至っています。

営業利益ベースではまだ赤字であるものの、営利で30%〜40%という高いマージンが確保できる事業であるため、中長期では重要な事業になってくると考えられます。

しかしなんと言っても圧倒的に目を引くのがエージェント事業です。前述のように既に売上総利益ベースで全社の67.2%を占めていることに加え、営業利益のシェアは更に高い79.6%。

年間成長率もYoY+44.0%と非常に高く、ここが全社の成長レバーかつキャッシュカウ事業であることが分かります。

前述のような16四半期連続という継続的な売上総利益の成長と、それを牽引するエージェント事業の成長は何が要因となっているのでしょうか?

2024年9月期 通期決算説明資料

2024年9月期 通期決算説明資料

プラットフォームをコアにしたエージェントの成長モデル

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