Webメディアの買収王『じげん』。累計リターン172.3%を実現する連続買収の方程式

マーケティング力を武器にM&Aで連続的に成長するじげんの戦略に迫る
もやし 2024.12.20
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同業種を連続的に買収するロールアップは、飲食やゴルフ場、動物病院、ゲーセン等、キャッシュフローの予見性が高く、店舗展開等で成功事例の横展開が容易な業種で行われることが多いです。

今回のテーマであるじげん社は、競争環境の変化のスピードが早いインターネット領域で連続買収を行い、売上数100億規模の企業となっています。

FY24までに累計28件のM&Aを行い売上の8割〜9割が、オーガニックではなく買収先の企業からもたらされる収益となっていることも驚きです。

同社の前CFOはGENDAの大株主であるミダスキャピタルの寺田さんであり、GENDA以前にM&Aを成長戦略の主軸においていたという点では、ロールアップスタートアップのはしりと言えるかもしれません。

本日は、そんなユニークなロールアップ企業であるじげんの、事業の立ち上げ〜連続的な買収による10→100の事業成長モデルを考察していきます。

固定費が重い業種が多いロールアップ系の中において、IT業種でそれを繰り返す同社のモデルは、多くのスタートアップにとっても示唆深いケースと言えそうです。

単価と意思決定コストの高い領域で事業を展開

じげんは元々はドリコムとリクルートのJVとして2006年に設立されていますが、リクルートから役員として出向していた平尾氏が25歳で代表取締役社長になると2010年にMBOを実施。その3年後にはマザーズに上場しています。

事業領域は一見すると非常に幅広く関連が見出しづらいものの、柱の人材と不動産に加え、旅行や自動車など高単価で意思決定コストが高い領域で、Webメディアを保有しています。

FY24 株式会社じげん 新規投資家向け資料

FY24 株式会社じげん 新規投資家向け資料

FY24の通期売上高はYoY+24%の232億円と二桁の成長をしつつ、営業利益率は23.2%という高水準になっています。

同社の事業はクライアントとなる企業とユーザーをに大量に集め、それらをマッチングさせることで収益を上げる、リクルートが得意なリボンモデルが基本となっています。

展開している領域もリクルートと似通っていますが、ビジネスモデルも同社の影響が色濃く見られます。

両側にステークホルダーが存在する2サイドプラットフォームのモデルは、ネットワーク効果が効くため片側を揃えれば自動的に成長が加速する反面、最初の立ち上げが非常に難しいという特徴があります。(所謂コールドスタート問題)

まずは、同社がどのように初期のコールドスタート問題を乗り換え、スピード上場を実現したのか振り返っていきます。

リボンモデルの片側に特化して筋肉質な事業を構築

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