バイトル vs タイミー。直販営業2000人・顧客数15万社で殴り込む『ディップ』の追い落とし戦略
今週10月14日、スポットワーク領域でのタイミー対抗の大本命と見られていた、メルカリハロの撤退が報じられ業界に衝撃が走りました
リクルートも参入を中止しタイミー総取りで勝負が決まるかに見えているスポットワーク市場。
そんな中でも、タイミーへの露骨な対抗心を露わにし、トップ自ら3年で就業数No.1を取ると宣言しているのが、バイト採用の『バイトル』を展開するディップ社です。

同社は都市部のバイト採用領域ではシェア30%を抑え、15万社の顧客企業と2000人の営業部隊を保有。スポットワーク事業を社長直轄体制に変更して年間数十億円の投資を行い、タイミーへの猛追を図っています。
更にネーミングが意味深な『オセロプロジェクト』というアグレッシブな取り組みも発表し、決算でも度々『業界の大手企業』との差別化に言及。
本日は、そんなディップ社のスポットワーク事業参入の背景と、同社のスポットワーク事業における差別化戦略、直近のタイミーとの競争状況について考察していきます
15万社の顧客網と2000人の営業部隊を抱える業界の古豪
ディップ社はアルバイト採用の『バイトル』を中核に、正社員向けの『バイトルネクスト』、専門職向けの『バイトルPRO』、ナース・介護の人材紹介である『はたらこ』等の①人材サービス事業と、採用・人事と販促領域のSaaSを提供する②DX事業を展開。
25年度の通期売上高はYoY+6.4%の563億円でうち88.1%を人材サービス事業が稼ぐ構造となっているものの、成長率はDX事業の方が高くなっています。
全社の営業利益率は23.7%で127億円を創出するなど利益率は高水準であるほか、人材サービス事業セグメント利益率が37.01%、DX事業が同50.44%と、両事業共に単体で利益を創出できる状態となっています。

第28期(2025年2月期)第4四半期及び通期決算説明資料
バイトルの業界シェアは高く、3大都市圏中心にバイト領域で25%~30%という高いシェアを保有しており、15万社の顧客と2,000人の営業部隊も存在。
この営業部隊は非常に強力で、人材サービスの顧客にDX事業のプロダクトをクロスセルしていくことで、5年で通期売上高67億円、セグメント利益33億円の事業を作り上げています。

第29期(2026年2月期)第2四半期決算説明資料
しかし、前述のように売上高成長率は+6.4%と二桁を切っており、売上高・営業利益共に2倍〜3倍程度の差をつけるタイミーの時価総額が1526億円なのに対し、同社は同1117億円と市場評価では大きな差がついている状態です。
そんな中24年10月に満を辞して発表したのがスポットワーク市場への最後発からの参入です。
3年でのシェアNo.1を目指す最後発参入の勝算
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