限界利益率70%の衝撃。ゲーム配信プラットフォーム『ミラティブ』の利益グロース
人件費や減価償却などの固定費が大きいビジネスは先行投資を要するものの、一度損益分岐点を超えると増分がほぼ利益になるため利益が急拡大します。
再生産コストの低いソフトウェアビジネスなどはその典型で、売上に対する変動費はほぼ発生しないため、規模が拡大すると営業利益率40%という極めて高利益な仕上がりになります。
ゲーム配信プラットフォームのミラティブ(東証グロース:472A)は、一見するとこのロジックとは縁遠い業界にいます。
ライブ配信サービスは一般的に、売上の30〜50%が配信者への還元費用として消え、Apple・Googleへの決済手数料30%が乗り、限界利益率が20%前後というのが業界の一般的なコスト構造です。
国内外のライブ配信プレイヤーがなかなか黒字化できない理由はここにあります。
ところがミラティブの限界利益率は、70%超という異常値とも言える水準となっており、2026年通期計画では売上+17%に対して営業利益は前年比3倍の水準。
そしてこのタイミングで、資産250億円の有名投資家の片山晃氏が14.3%を取得とまさに変化の渦中にいます。
本日はミラティブの極めて優れたコスト構造とそれを成立させるビジネスモデル、同社の今後の成長戦略について考察していきます。
DeNAからのMBO〜IPOと逆風下での大量保有
ミラティブ社の起源は2015年8月にDeNAがリリースした「Mirrativ」に遡ります。これを立ち上げたのが、当時の同社最年少執行役員だった赤川氏(現ミラティブ 代表取締役CEO)で、同氏により2018年2月にMBOされDeNAからの独立を果たします。

2026年12月期第2四半期決算説明資料
その後VCからの資金調達を重ね、上場時にはグロービス(18.6%)、ANRI(11.0%)、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ(9.5%)、YJキャピタル、ジャフコ、グローバル・ブレインが株主に名を連ね、25年12月にグロース市場へのIPOを果たします。
上場時の想定時価総額は143.9億円で22年のシリーズCの624億円と比較すると4分の1程度、更に6月には時価総額が60億円台まで沈み、グロース市場に吹く逆風を感じさせる株価の変遷を辿っています。
しかし有名個人投資家の片山晃氏が大量保有ギリギリの4.84%まで市場内で買い付けると、7月2日に既存株主のVCから9.43%を市場外で買い付け、一気に14.27%(10.7億円相当)の保有を開示。
同氏がミラティブに大量買い付けを行なったのはグロース市場全体からの資金の流出とVC持分の売り出しによる需給の懸念で株価が下げ、後述のような優れたビジネスモデルと比較した際投資妙味が出てきたからであると考えられます。
直近業績は2026年Q2累計で売上高がYoY+12.6%の38.3億円、営業利益は同+140%の4.9億円。損益分岐点を超え利益の3倍成長を計画と、オペレーティングレバレッジが効き始めたタイミングと言えます。

2026年12月期第2四半期決算説明資料
このような利益成長が実現できる背景には、前述のような限界利益率の70%という高さがありますが、なぜ同業他社が配信社への還元(30%~50%)と決済手数料(30%)で黒字化にてこずる中、同社はこのようなコスト構造を実現できているのでしょうか?
プラットフォームの高い粘着性で実現する限界利益率70%
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