グローバルNo.1に向けた米国企業の大型買収。ビザスクの社運を賭けた勝負の行方
100億円越えの社運を賭けたM&A
2021年8月、ビザスクという国内スタートアップによるM&Aが大きな話題を呼びました。自社の2倍以上のサイズのColemanという米国企業を、年間売上の3倍以上の金額で買うというアグレッシブなものだったためです。上手くいけば企業価値を非連続に伸ばすことができ、逆に失敗すれば最悪の場合会社が吹っ飛ぶという、正に社運をかけた買収と言えるでしょう。買収について深掘りする前に、まずはビザスク社についてみていきましょう。
ビザスクは知見を持つエキスパートと、市場調査やM&A、製品開発等でその知見を欲している企業を結びつける、ENS(Expert Network Service)を提供する企業です。設立は2012年で、ゴールドマンやユニゾン・キャピタル出身の端羽さんによって創業されています。
現在の主要サービスは、エキスパートとの1時間単位のインタビューのマッチングやアンケート調査のサービスです。インタビューやアンケートに回答したエキスパートに対し企業側から費用が支払われ、その一部がビザスクの収益になります。
主要顧客はコンサルティングファームや機関投資家、事業会社の一部の部門で、上場時の売掛金上位先にには、BCG、ベイン、NRIなど大手コンサルティングファームが名を連ねています。
ビザスク 2023年2月期通期決算説明資料より
ビザスク 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)より
23年の通期の取扱高は123億円のうち営業収益比率(Take Rate)は67%となっています。類似サービスとして括られるクラウドワークスやココナラの20%~30%と比較すると、その驚異的な高さが分かります。
ビザスク 2023年2月期通期決算説明資料より
事業セグメントは国内外のコンサル・金融機関向けのグローバルENS、国内事業会社向けに分かれています。主力はコンサルファーム・金融機関向けのグローバルENSで、23年期時点では会社の営業収益の79%を占め、Take Rateも事業会社向けの50%よりも高い70%程度となっています。
主要顧客となるコンサルティングファームは多くの場合クライアントとなる事業会社から数ヶ月で数千万円〜数億円のFeeでPJを発注され予算が潤沢かつコンサルタントの稼働費も高いため、事業会社よりも情報に対する価格感度が低いと考えられます。
ビザスク 2023年2月期通期決算説明資料より
ビザスク 2023年2月期通期決算説明資料より
ビザスク 2023年2月期通期決算説明資料より
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