プロフェッショナルサービス起点のエンプラ戦略。プレイドARR100億円超えの軌跡
プレイドはマーケティング領域のエンタープライズSaaSを提供する企業です。
ARRは100億円を越え、ARPA(アカウントあたり単価)も上場SaaS 2位となる1352.4万円とエンタープライズSaaSのトップグループの一角です。
しかし、そんな同社も一時期は大型の解約・ARRの前Q比での減少等に悩まされましたが、短期間で再度成長軌道に戻し、2年でARRを1.5x規模の100億円まで成長させています。
本日は、エンプラSaaS最大手であるプレイドのプロフェッショナルサービスを起点とした戦略や、同社のマルチプロダクト展開について考察していきます。
ぽこしーさん SaaSメトリクスダッシュボード(上場SaaS企業データ)
CX領域のプロダクト+プロフェッショナルサービスを提供
まず事業概要からです。同社は所謂CRMツールのKARTE Web/KARTE for Appを主力にマーケティング領域のプロダクトや、プロフェッショナルサービス(以下PS)を提供する企業です。
その特徴はユーザー単位で行動データを蓄積できることにあり、これによりパーソナライズしたクーポンやメールでのCRM、問い合わせ対応など、コミュニケーションの最適化が可能になります。
連結のARRは遂に100億円を超え、その成長率も22年→23年の+16.3%よりも24年はさらに高い+25.5%となっています。24年4Qの売上高29.3億円のうち15.9%を占める4.6億円がPS売上と、PS売上が中堅規模のコンサルファームに近しい規模となっていることも特徴的です。
2024年9月期 第4四半期 決算説明資料
プレイド単体のARR成長+22.7%の内訳としては、新規獲得によるARRの積み上げが11.3%、既存顧客の取引拡大が11.4%と既存顧客の深耕がARR成長に大きく寄与していることがわかります。
直近のNRRの推移をみてみると24年4Qの104.9%→111.4%と1年で10%pt改善。プロダクトのアップセル/クロスセル等が急速に進みつつあることが伺えます。
2024年9月期 第4四半期 決算説明資料
ARR別の顧客社数と顧客単価の推移を見ると、ARR1,000万円以上の顧客社数が増加し、その顧客単価も全体とARR1,000万円以下を上回って成長。
エンタープライズの獲得や深耕を強めていると考えられ、これが前者のARR成長を牽引していると考えれられます。
このように同社の直近のKPIは非常に好調な推移となっていますが、前段のように一時期は解約が相次ぎ事業成長が踊り場を迎えていました。
当時の事業状況とどのようにそこからの再成長を実現したのか振り返っていきます。
2024年9月期 第4四半期 決算説明資料