世界シェア50%。医療の巨人エムスリーの勝ちパターンとM&A戦略
毎度お馴染みのこの書き出しですが、エムスリーについてはもはや説明不要かもしれません。
医療ドメイン単体で、楽天やラインヤフーを凌ぐ時価総額5兆円まで到達し、グローバルでも50%という高い医師カバー率を誇る、医療ITの巨人です。
今回はそんなエムスリーが、医療プラットフォームで高いシェアを築くに至った経緯や、それを起点とした事業の拡張、同社の特徴的なM&A戦略等について考察していきます。
製薬会社のマーケティング支援を中心とした事業ポートフォリオ
エムスリーは様々な医療領域の事業を展開する日本発・世界屈指のITコングロマリットです。
同社の医療従事者専門サイトでは、国内90%、全世界の50%以上にあたるグローバル650万人の医師会員を保有しています。これを起点に製薬会社のマーケティング支援から事業をスタートさせ、治験のマッチング、キャリア支援、病院の経営支援、海外と大きく5つの領域で事業を展開しています。
23年度の売上収益は2,388億円、営業利益率26.9%と、同領域のメドピアの7.6%、メドレーの12.9%と比較しても、圧倒的に利益率が高くなっています。
主力は製薬会社のマーケティング支援を行うメディカルプラットフォーム事業で、全社売上の39.1%の934億円という巨大ビジネスです。
その他のセグメントも病院の経営支援を行うサイトソリューション352億円、海外698億円と、かなりのサイズであることが分かります。
全ての事業が看板を張れるレベルですが、特に売上934億円で利益率41.3%という、規模・利益率共に飛び抜けた、メディカルプラットフォーム事業が目につきます。
2024年3月期決算発表資料
原点にして頂点。製薬会社のマーケ支援で売上930億円・利益率40%超えの理由
このメディカルプラットフォーム事業は、同社の医療従事者専門サイト『m3.com』上に、医薬品の情報を掲載し、製薬会社のマーケティング支援を行うサービスです。
利益率40%超えというのは中々お目にかかれないレベルですが、なぜこのような素晴らしい事業を築くことができたのでしょうか。大きく3つに分けてその理由を考察していきます。
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