韓国『タングン』がジモティーに50倍の差をつけてユニコーンになれた理由
ジモティーというサービスをご存知でしょうか。地域住民間で中古品取引が行える無料版メルカリのようなサービスで24年4月6日現在の時価総額は約70億円となっています。一方韓国で同様の事業を展開する『Danggeun(タングン)』の評価額は3兆ウォン(約3300億円)となっており、評価額ベースでは約50倍の差があります。文化や経済水準も近い日本と韓国の同業でなぜこれほどまでの、評価額の差がつくのでしょうか?
今回は韓国のジモティー『タングン』とジモティーの評価額の差を生んだ要因、タングンが後発から競合のシェアを奪い黒字化するまでの過程を振り返っていきます。
ソフトバンクやDSTから調達する韓国の最強ユニコーン
上述の通りタングンは地域密着型の中古品取引プラットフォームを運営する企業で、 NAVERやKakaoといった韓国のトップIT企業出身のキム・ヨンヒョン氏とキム・ジェヒョン氏によって創業されています。設立は2015年となっており、2011年設立のジモティーや韓国の競合企業よりも後発になります。タングンは当初中古品の取引プラットフォームからスタートするも、バイト探しや不動産、地域住民同士のコミュニティまでサービス範囲を拡大しています。
2023年売上高は前年比+156%の1276億ウォン(約143億円)、営業利益は173億ウォン(約19億円)となり創業来始めて黒字化。2020年時点での売上は118億ウォン(約13億円)のため、3年間で10倍以上という驚異的な成長を遂げていることが分かります。そしてCtoCサービスの重要指標である月間アクティブユーザー数(MAU)は1900万人となっており、韓国の人口5,100万人の4割弱が毎月利用している国民的サービスとなっています。
同社リリース『당근, 창사 8년 만 첫 연간 흑자 달성』より
この脅威的な成長スピードと韓国への浸透率・海外への拡張性が評価され、グローバルのトップ投資家も同社に強烈なラブコールを送っています。MAUが700万人に達した2020年には韓国のカカオベンチャーズや、日本のソフトバンクベンチャーズ等から3,300万ドルを調達。翌21年にはDSTやAspexから27億ドルの評価額で1.6億ドルを調達し、韓国でも最大級のユニコーンとなりました。
同社会社紹介より
同様の事業を展開する日本のジモティーとタングンを比較すると、売上が8.4倍、評価額では47倍の差がついています。そして注目するべきはMAUとARPUです。MAUの規模はそれほど変わらないにも関わらず、ARPUに5.3倍の差がついており、人口あたりの利用率も3.7倍弱の差がついています。なぜビジネスモデルやマザーマーケットの経済水準が近い両社で、このような差が生まれるのでしょうか?
※ちなみに収益性ではジモティーが大きく先行しておりROEも40%超えと非常に素晴らしいビジネスを作り上げています。両社は目指す姿が異なり、テックセクターではタングンの方が投資家に評価されやすかったということであり、ジモティーを貶める意図は無いことを補足しておきます(自分自身も利用したことがあり素晴らしいサービスだと思います)
両者HP・IR資料より作成
*MAUの定義が異なる可能性があることに注意
ARPUや評価額に繋がったジモティーとタングン3つの差分
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