CPAハックではないD2Cの勝ち筋。卸売がベースフードの生命線である理由
完全食の概念を広めつつ日本の市場を作ってきたベースフード。毎年倍々ゲームで成長しFY242Qには3大コンビニチェーンでの導入が大きく進み四半期で売上43.7億円、営業利益率も5.8%と黒字化に成功。
しかし、急激に売上が成長した反動で品質不良問題を起こし自主回収を行い業績・株価ともに急落。非常にハードな場面があったものの、直近は値上げが功を奏し再びの単月黒字化に成功。
同社は所謂D2C企業ですが原価率が高く、通常のD2Cのように広告費をかけすぎると利益が出ないため、D2Cの王道のPlaybookとは異なる戦い方が求められる企業です。
今回は、通常のD2Cとは異なる同社のビジネスモデルと、CF創出+広告を兼ねる最重要チャネルである小売店への卸売、今後の成長戦略について考察していきます。
DeNA出身者が率いる異色の完全食D2C
完全食とは、1食あたりに必要とされる栄養素をすべて含んだ食品のことであり、同社はその完全食をD2Cモデルで提供する企業です。
完全食自体はUSで有名なドリンク型のSoylentなど元々存在していましたが、食事を娯楽というよりも栄養を摂取するための手段としてみるような、ややニッチな層をターゲットとしたプロダクトが主流となっていました。
そんな中同社はパンやパスタといった一般食材の形をとる商品を揃えています。特にチョコレートやメープルなど味付きの菓子パン系の商品がブレイクスルーとなり、国内D2Cトップ規模の売上100億円越えのブランドになっています。
私自身もほぼ全ての商品を食べたことがありますが、特にパン系は完全食とは思えないほど美味しく、直近新発売されたこし餡もオススメです。
2025年度2⽉期 第2四半期決算説明資料
日本でもカップラーメンの日清が『完全メシ』のブランドを投入してきていますが、ベースフードの認知は高くカテゴリーリーダー的ポジションを維持。
プロダクトのコンセプトや機能がコアであるためR&Dは重要機能と思われますが、創業者はDeNA出身の橋本氏。元々研究職や食品のバックグラウンドが全くない状態で家で試作品を作り始めるところからスタート。
完全食フードテックで国内に先行者がいない状態で資金調達には苦労されたそうですが、グローバルブレインが4回リード投資を行いファイナンス面を支え、22年にグロース市場に上場しています。