タイミー vs メルカリ/リクルート。スキマバイト事業の参入障壁はどこにある

タイミのービジネスモデルのポイントや参入障壁について考察
もやし 2024.06.22
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遂に国内スタートアップの雄タイミーの、1,000億を超える弩級のIPOが発表されました。

成長率・収益性共に非常に高いタイミーですが、リクルートやメルカリ等の大手インターネット企業の参入も報じられており、今後の競争激化は必死です。

本日は同社のビジネスモデルや、競合に対する参入障壁となるデータ/人員資産について、考察していきます。

Take Rateは脅威の30%。2年で4倍成長のモンスター企業

タイミーはスキマバイトサービスの『タイミー』を運営する企業です。スキマバイトはその名の通りスキマ時間に働くことのできるバイトサービスで、ユーザーは面接無しの即日勤務と、即日の給料受け取りが可能で、求人企業は即日ワーカーを雇用することが可能です。

その成長率は凄まじく、22年10月期に62億円だった売上高は23年に161億円、24年に275億円見込みと2年で4.4倍という圧倒的スピードで成長。22年期には純利益ベースでの黒字化を達成しています。(前2年では10倍)

そして驚くことに、流通総額に対するTake Rateは30%という非常に高い水準となっており、求人企業が払う2万円のうち6000円はタイミーに支払われます。これは、30%もの手数料が乗った高い費用を求人企業側は喜んで支払い、逆にワーカー側は30%もの手数料が取られても喜んで働き続けることを示しています。

このような高い手数料率が許容される背景には、タイミーの求人企業・ワーカー双方に対する高い提供価値とその代替性の低さが示唆されます。ワーカーにとっては直ぐに働けること、求人企業側にとっては優秀なワーカーを即日雇用できることがタイミーの提供価値だと考えられます。スキマバイトビジネスは、如何にこの両側を効率よく集め・マッチングを促すのか、という勝負と言えるでしょう。

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逆に言えば、対求人企業の大規模な営業部隊を抱え、資本力を武器に手数料を引き下げ大規模な広告宣伝投資を行える企業であれば、タイミーと同等の求人数・ユーザー数を確保するのは不可能ではないかもしれません。

そういった意味では、直近スキマバイト市場への参入が報じられた、強力な営業部隊を持つリクルート、C向けで大量のユーザーを既に抱えるメルカリは、非常に手強い競争相手であると言えそうです。

かつてのOrigamiがPayPay、Line Payにまくられてしまったように、スキマバイト市場も後発のインターネットの巨人が勝者になるのでしょうか?

実はスイッチングコストの高いスキマバイト

スキマバイトサービスはスイッチングコストが高く、実は後発での巻き返しが極めて難しい市場ではないか?というのが自分の仮説です。以下、自分の理解と仮説を述べます。

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  • タイミーの今後の広がり

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