隠れたSaaSの巨人リクルート。何故Airレジは無料で儲かるのか?
Indeedの買収やホットペッパー、ゼクシィ等で有名なリクルート。同社が2010年代からSaaS事業を展開し、アカウント数360万という巨大ビジネスを築いていることをご存知でしょうか?
今回はリクルートのLand&Expandの美しい顧客企業への入り込みと、メディアやFintechを組み合わせたLTVの高いSaaS事業のモデルについて考察していきます。
リボンモデルの次。リクルートが進めるメディア→SaaSへの転換
リクルートは大学新聞の求人広告から事業をスタートさせ、人の人生にまつわる幅広い領域でマッチングビジネスを展開しています。直近では海外企業の買収を進め、Indeedの親会社としてグローバルでも存在感を高めています。
事業領域は、買収したIndeedやGlassdoor等の海外子会社を主力とした①HRテクノロジー事業、祖業でもある国内の②マッチング&ソリューション事業、国内外で事業展開を行う③人材派遣事業の3つのセグメントで事業を展開。今回注目していくのは②マッチング&ソリューション事業で、FY23通期実績は売上高7,606億円、セグメント利益1,098億円という巨大な事業となっています。
リクルートと言えば圧倒的な営業力で導入企業をかき集め、集客した個人ユーザーと結びつけプラットフォームの価値を最大化させる『リボンモデル』が非常に有名です。そのカバー範囲は極めて広く、住宅のsuumo、美容のHOT PEPPER Beauty、旅行のじゃらん、飲食のHOT PEPPERまで、業界毎にVerticalな集客メディアを築いています。
一方直近は、SaaSやFintechまで事業領域の拡張を進めており、POSレジや決済、シフト管理など幅広い業界に提供するHorizontal SaaSの『Airシリーズ』や、『SALON BOARD』、『Restaurant BOARD』等のVertical SaaSを展開。VerticalとHorizontalに跨るSaaS事業を保有している企業は、グローバルでみても非常にユニークです。
その事業規模・成長率は驚異的で、SaaS事業だけで23年12月時点で国内に360万のアカウントを保有し、決済のAirPayの24年3月期の決済金額は、YoY+38%の1.8兆円見込み。2024年3月期は上半期のみで、美容・旅行・飲食領域のマッチングソリューション+SaaSの売上高合計は、1200億円に達しています。
Investor Update FY2023 | Day2 : Help Businesses Work Smarter_Presentation